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全日本建築士会・『合格への鍵』講座

このブログは、原則として毎週金曜日更新を予定しています。当会の建築士講座講師が適宜分担して執筆し、当会建築士講座監修者が総合監修します。

合格への鍵(第14回)~新傾向問題としての改修工事~

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~重要必須事項について、近年の問題を通して解説~

前回(第13回)では、ストックの時代の到来による良質な社会資産の形成に向けた近年のリノベーション、コンバージョンの実例を計画の問題を通して考えてみましたが、今回は良質な社会資産の形成に向けた修繕、改修について施工の問題を通して考えてみることとします。

 

【問題1】 鉄筋コンクリート造の既存建築物の外壁改修工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. コンクリートの中性化の進行に伴う鉄筋の腐食の補修において、鉄筋の腐食に対する恒久的な補修工法として、腐食した鉄筋を斫(はつ)り出し、錆(さび)を除去した鉄筋に浸透性吸水防止剤を塗布した後に、コンクリートの欠損部にポリマーセメントモルタルを充填(てん)した。
  2. タイル張り仕上げ外壁の改修において、タイルの大きさが小口タイル以上のタイル陶片の浮きについては、注入口アンカーピンニングエポキシ樹脂注入タイル固定工法を採用した。
  3. 塗り仕上げ外壁の改修において、既存塗膜を除去する必要がなかったので、水洗い工法により塗膜表面の粉化物や付着物を除去し、上塗りのみ塗り替えた。
  4. モルタル塗り仕上げ外壁の欠損部を充填(てん)工法で改修する場合において、欠損範囲が直径20cm程度で、充填(てん)する厚さが約10mmであったので、ポリマーセメントモルタルを2層に分けて塗り重ねて充填(てん)した。

 

この問題は、平成22年一級建築士施工の問題で、いずれも、鉄筋コンクリート造の外壁改修に関する設問です。

設問1は、躯体コンクリートの中性化の進行に伴い、腐食が進んだ鉄筋の補修方法を問うもので、鉄筋の錆を除去した後に鉄筋コンクリート防錆剤を塗布することがポイントとなっており、設問1は誤りです。

設問2,3,4は仕上の補修方法に関する設問で、設問2,3,4は全て正です。

これらの設問の内容自体は特に難しいものではありませんが、いずれも補修方法の具体的内容についてのしっかりした理解がないと単なる記憶だけに頼るのでは解くのが難しい設問です。

 

【問題2】 改修工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. アルミニウム製建具の改修工事において、既存建具の枠に著しい腐食がなかったので、既存建具の外周枠を残し、その枠に新規のアルミニウム製建具を取り付けた。
  2. 合成高分子系ルーフィングシート防水の既存防水層撤去後のコンクリート面において、幅2mm以上のひび割れに対しては、ポリマーセメントモルタルで補修した。
  3. 内装改修工事において、ビニル床タイルの接着剤には、特記がなかったので、ホルムアルデヒド放散量による区分の等級が「F☆☆☆☆」のものを使用した。
  4. 井内の既存壁の撤去に伴い、取り合う天井の改修範囲は、特記がなかったので、壁面より両側600mmとした。
  5. 外壁改修工事の高圧水洗工法による既存塗膜の除去において、高圧水洗機の加圧力は、試験施工を行い決定した。

 

問題2は、平成26年二級建築士施工の問題で、建具、仕上げ補修についての設問からなる問題ですが、設問2は、既存防水層撤去後のコンクリート面の下地補修及び処置においては幅2mm以上のひび割れに対しては、グラインダーを用いてU字の溝をあけ、そこにポリマーセメントモルタル等のポリウレタン系シーリング剤を充填することが、補修法としての原則ですので設問2は誤りです。

また、設問1,3,4,5は正で、全て補修方法としては基本的な知識を問うものですが、問題1と同様に具体的に補修方法の内容をしっかり理解しておかないと単なる表面的な記憶のみでは対処できない設問であるといえます。

 

以上のような施工における改修工事に関する問題は、良質な建物を改修して出来るだけ永く使うというストックの時代を反映して、従前に比して近年は出題頻度が著しく増加傾向にあるので注意が必要です。

なお、施工全般にわたる傾向として、設問の内容自体は構造などの科目の設問に比し、理論的に難しいものは多くありませんが、他方、単に表面的な記憶に頼ることでは対処できず、あくまでもしっかりした内容の理解に裏打ちされた記憶が必要であることに留意しておく必要があります。