読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

全日本建築士会・『合格への鍵』講座

このブログは、原則として毎週金曜日更新を予定しています。当会の建築士講座講師が適宜分担して執筆し、当会建築士講座監修者が総合監修します。

合格への鍵(第3回) ~建築士の役割は何か?~

「合格への鍵」講座

前回では、近年、新規な問題として出題されたもので、出題頻度が高く、定番のようになってきた問題について概要を記しましたが、今回からは具体的に試験問題を通して記して行くこととします。

まず、近年、出題頻度の多くなってきた建築士法の問題について記すこととしますが、個々の建築士法の問題について考える前に建築士法の骨格についてしっかり理解しておくことが重要です。

 

f:id:zenchikai:20161122123612j:plain

 

すなわち、通常、委託者(施主)は建物を造るときには、設計を依頼し、その設計に基づいて建物を造ることを施工者に依頼する訳ですが、その場合、施工者側の業務である施工管理に対して、委託者側からの依頼により施工管理が適切に行われているか確認する工事監理が建築士法上不可欠の業務です。なお、目的が異なる工事監理と施工管理は完全に隔絶し、区分されていなければならないことを理解しておく必要があります。

工事監理と施工管理とは、言葉としても似ていてまぎらわしいため、実務の世界では、工事監理の監には皿という字が含まれているため、工事監理を施工管理と区分するため、「サラカン」と言ったりする場合もあります。

 

次に重要なことは、設計や工事監理等の建築士法第21条で規定されている業務を行う建築士は、必ず建築士事務所に属していなくてはならないということです。(法第23条)(但し、法第21条で規定されている「建築工事の指導監督」は施工管理とは異なるもので、施工管理を行う建築士建築士事務所に属している必要はありません。)

 

これは、社会的影響度の大きな建築士の行う主な業務については、個人としての建築士では負担できる責任に限界があるため、必ず組織(建築士事務所)に属している必要があり、個人としての建築士が誠実に業務を行い、その建築士が属している建築士事務所がしっかりしていることにより、社会の負託に応えることが建築士法上の基本理念となっている訳です。

 

このため、建築士法では、個人としての建築士の在り方と建築士事務所の在り方についての規定が表裏一体のように制定されており、それが建築士の試験の問題にも反映されていることに留意する必要があります。

 

また、設計・工事監理等の業務については主に建築士法の関係する範囲で、施工監理等については主に建設業法等の関係する範囲であることも理解しておく必要があります。

なお、設計・工事監理業務は、計画を具現化する計画に係わりの深い業務であるため、近年、一級建築士計画の問題として出題されるようになってきたことは当然のこととも考えられます。

 

【問題】建築物の設計・工事監理の契約に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 一級建築士の設計によらなければならない建築物の工事において、設計施工一貫の工事であれば、工事監理者を置く必要はない。
  2. 工事監理者は、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに工事施工者に対してその旨を指摘し、設計図書のとおりに工事を実施するように求め、工事施工者がこれに従わないときには、その旨を建築主に報告しなければならない。
  3. 一級建築士事務所において、建築士法で定める重要事項の説明については、管理建築士のほか、当該建築士事務所に属する一級建築士も行うことができる。
  4. 建築士は、建築士事務所としての登録を受けないで、他人の求めに応じ、報酬を得て、設計又は工事監理の業務を行ってはならない。

 

この問題は、平成26年一級建築士計画の問題ですが、1の設問において、上記のように工事監理は不可欠の業務で、また、設計・工事監理は建築士事務所に属している建築士でなければ行ってはならないので、設計施工の場合は、必ず施工会社は建築士事務所を設立し、設計・工事監理を行う建築士はその事務所に属していることが条件となっています。

このため、1が誤りとなります。

なお、2、3、4は設問の通りですが、2の設問で工事監理者の指摘したことに工事施工者が従わないときには、その旨を建築主に報告しなければならない(法第18条第3項)という部分を特定行政庁等として誤りの設問として出題されることも多いので、注意する必要があります。

 

【問題】次の記述のうち、建築士法上、誤っているものはどれか。

  1. 建築士事務所を管理する管理建築士は、建築士として建築物の設計、工事監理等に関する業務に3年以上従事した後、登録講習期間が行う管理建築士講習の課程を修了した建築士でなければならない。
  2. 建築士事務所に属する建築士は、登録講習機関が行う所定の定期講習を、当該定期講習のうち直近のものを受けた日の属する年度の翌年度の開始の日から起算して3年ごとに受講しなければならない。
  3. 建築士事務所の開設者は、委託者の許諾を得た場合であっても、委託を受けた設計又は工事監理の業務を建築士事務所の開設者以外の者に再委託することは禁止されている。
  4. 建築士事務所の開設者は、設計受託契約前に、あらかじめ、当該建築主に対し、管理建築士等をして、作成する設計図書の種類、当該設計に従事する建築士の氏名、その者の建築士の資格の別、報酬の額及び支払の時期等を記載した書面を交付して、これらの重要事項の説明をさせなければならない。
  5. 建築士事務所に属する建築士が当該建築士事務所の業務として作成した設計図書又は工事監理報告書で、建築士事務所の開設者が保存しなければならないものの保存期間は、当該図書を作成した日から10年間である。

 

この問題は平成21年二級建築士法規の問題で、設問5における重要設計図書等の建築士事務所での保存義務期間は15年間です(士法施行規則第21条第5項)ので、設問5が誤りで、他はすべて設問の通りです。

 

また、設問2において、建築士事務所に属する(一級、二級、木造)建築士は登録講習機関の行う定期講習を3年毎に受講しなければなりませんが、建築士事務所に属さない設計・工事監理等の建築士法で定められた業務を行うことができない建築士には受講義務はありません。

 

設問3における建築士事務所から設計・工事監理の業務を再委託する場合でも、建築士事務所に属する者でなければ設計・工事監理を行ってはならないという原則に当然変わりありません。

なお、管理建築士の役割等については、次回で解説することとします。

 

当会の講座に資料請求または、お申し込みされた方には、当会講座の総合監修者による、重点事項対策の解説DVDを無料でプレゼントしています。