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全日本建築士会・『合格への鍵』講座

このブログは、原則として毎週金曜日更新を予定しています。当会の建築士講座講師が適宜分担して執筆し、当会建築士講座監修者が総合監修します。

合格への鍵(第1回) ~重要必須事項について、近年の問題を通して解説~

合格への鍵(第1回)

~重要必須事項について、近年の問題を通して解説~

 (本欄は毎週原則金曜日に更新します。当会の建築士講座講師が適宜分担して担当し、当会建築士講座監修者(元国土交通省室長)が総合監修します。)

 ―本当の難問とは何か?

近年、いわゆる従来出題されたことのない事項に関する、新傾向・新規な問題が出題されるようになってきて、その分だけ試験の難度が上がってきたともいわれます。

 

実際、一級建築士では平成21年度の試験制度の見直しから、二級建築士では平成24年度の試験制度の見直しからこの傾向が特に顕著となってきた結果、一級建築士では新規事項に係わる問題の比率が上昇し、二級建築士では一級建築士並みの難度の問題の出題も見られるようになってきました。

 

しかしながら、もしもこのような結果から試験の問題の難度が顕著に上がったとすれば、合格基準点を大きく下げない限り合格率は大きく下がるはずですが、近年、合格基準点の大きな調整は行われておらず、合格率も特段下がってはおりません。

まさか、近年、大方の受験者の皆さんが、以前にも増して急に超人的な猛勉強するようになった結果とも考えられません。

 

それでは、以上のような現象についてはどのように考えたらよいのでしょうか。

その鍵は、問題を構成する4枝(一級建築士)ないし5枝(二級建築士)の設問の内容にあると考えられます。

 

すなわち、問題を構成する設問の全てが、新規な設問であれば、一般的には相当に難しい問題ともなりますが、逆に問題中の新規な設問は1のみで、仮に正答となる設問は既に何度も出題されている基本的な設問であれば、むしろその問題は易しい問題ということとなるでしょう。

 

以上の場合は、極端な場合で、実際には新規な設問と従来出題された範囲の設問の割合は種々な場合がある訳ですが、いずれにしても新規な問題と一口にいっても様々な場合があって簡単に難しい問題とか易しい問題とか言えない訳で、近年、新規な問題が増えてきたために試験の問題がそれだけ難しくなったとは、単純にいえないこととなります。

 

以上から、新規な設問を含む問題への対応として、いわゆる新規な設問ばかりに目を向けた勉強は望ましいことではありません。

例えば、建築史の相当専門的な新規な設問に対応するために、建築史だけを懸命に半年勉強していても対応できないかも知れません。

 

そのためには、以上から先ず新規の設問を含む問題への対応としては、

①その問題中に含まれる既存の出題分野からの設問については確実に解けるようにしておくこと。

②近年の新傾向として出題されるようになってきた新規な設問でも、社会的状況等を踏まえて、近年の設問として定着したものについては特に留意して学習しておくこと。

が有効であると考えられます。

 

【問題】技術者倫理等の用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. アカウンタビリティ」は、一般に、業務や研究活動についての「説明する責任」のことをいう。
  2. 「談合」は、一定の利益を業界全体にもたらすことを目的とするもので、同業種の業者が資本を結合し、共同企業体を設けることも含む。
  3. 公益通報」には、通報先や状況によって、「内部通報」、「行政機関への通報」及び「外部通報」の三つの種類がある。
  4. コンプライアンス」は、一般に、「法令遵守」と訳され、法令・条例等の遵守に加えて企業倫理等の遵守も含む。

 

 

この問題は、平成28年一級建築士試験計画の1問目の問題で、全て新規な設問を含む新傾向の問題といえます。ここで技術者倫理といっているのは申すまでもなく建築士の試験においては、建築士の倫理のことであり、建築士法上の倫理規定と関係のある問題と解することが出来ます。

 

建築士法に関する問題は、次回に述べることとしますが、近年の出題傾向として重視され、毎年、何問も出題されるようになってきましたが、上記の問題は建築士法の内容をかたちを変えて出題したものと考えることができます。

 

この問題の設問は全て新規な設問から成っており、その意味では難問の部類に入るともいえる訳ですが、実際には正答に当たる設問の「談合」は違法な反社会的行為であることは、大方の人の知るところであることからこの設問は易しいものといえ、この問題は全て新規な設問から成るものであってもむしろ易しい問題であるともいえます。

 

ところで、建築士法第2条の2には「建築士は公正かつ誠実に業務を行わなければならない。」法第21条4には「建築士は信用又は品位を害するような行為をしてはならない。」とも規定されているように、建築士は単に建築士法上の法の条文に定められたことのみでなく倫理規定的なことをも遵守することが定められている訳です。

 

本来、法は下位の社会規範とも呼ばれ、倫理は上位の社会規範とも呼ばれ、別のカテゴリーの社会規範であるものが、倫理規定が法の規定に含まれているのはやや違和感があるものの、この規定は建築士法の根幹といえなくもありません。

ちなみに、建築士法の倫理規定に関する問題は、27年の一級建築士試験にも出題されており、要注意と考えられます。

 

次回は、近年の新傾向として出題されるものの中でも、近年の社会状況等から特に注目されるもので、ほぼ毎年出題されるようになってきた問題について記すこととします。

 

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