法律には、その法律が制定される以前のことについては、その法は効力を有していないという、法の不遡及の原則があります。
このため、建築基準法においても、建設時の法に適合しているとして建てられた建築物が、その後に改定された法に適合していなくても、既存不適格建築物(違反建築物とは異なる)として、大規模な修繕や模様替えをしない限り、現規定の適用を受けないこととなっています。
このため、既存不適格建築などで特に構造的な改修を図ることを目的とする「耐震改修促進法」においても、「・・・しなければならない」ではなく、「・・・するように努めなければならない」という努力目標的な規定となっており、このこと自体が諸々の難しい問題を含む結果となっています。